食と健康をコラムを通して考える

健康長寿に食べる知恵と秘訣

(3)ヨーグルトとチーズのすすめ

1:健康長寿にヨーグルト

  • ヨーグルトは、生乳に比べてカロリーがやや低いだけでなく腸内の働きを健康に保つ有用な乳酸菌を多量に含み、消化性も良いため健康長寿のぐれた素材として薦める。
  • 長寿のためにヨーグルトの乳酸菌が有益な働きをしていることを発見し提唱したのは今から100年前に免疫学でノーベル賞を受賞した、イリヤ・イリイチ・メチニコフ博士である。
    (参考:E.,メチニコフ著、平野威馬雄訳:長寿の研究、2006, 幸書房、東京)
  • メチニコフ博士がブルガリアで長寿者の調査の結果から発表した不老長寿説はやがてヨーロッパにヨーグルトを普及するきっかけになった。
  • 日本の腸内細菌の研究は世界をリードし、健康と生活習慣病を予防するのに有益な多くの世界的な発見や、医薬品から機能性食品まで多くの有益な製品を生み出した。
  • ヨーグルトは牛、馬、羊、山羊、水牛、らくだなど世界各地で飼育される家畜の乳を乳酸菌で発酵させる。もともと生乳は腐りやすく保存性をよくするために始まった。
  • 使う乳酸菌は夫々で種類が違う為に独特の風味が生まれる。乳酸菌は乳糖などの糖類を発酵して有益な乳酸などの酸をつくる。乳酸は腸内で色々な有益な働きをする。
  • 日本の国の規格により、発酵乳と呼べるヨーグルトは、無脂乳固形分を8.0%以上、生きた乳酸菌数が 1ml あたり1000万以上と定められている。
  • 厚生労働省は厳密な科学的審査を経て「お腹の調子を整える食品」として多くの発酵乳(ヨーグルト)と乳酸菌飲料を「特定保健用食品(トクホ)」に承認している。
  • 乳酸菌が健康長寿に有益に働くのに、科学が明らかにした作用は、便通改善、感染防御、免疫調節、腸内細菌叢のバランス改善、腸内環境改善、発ガンのリスク低減が知られている。
    (参考:全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会資料、2006、東京)

2:クレタ島の長寿食にチーズ

  • チーズは長寿食の一つとしてヨーグルトと共に薦めたい食材である。
  • クレタ島では肉類は殆ど食べないが、地中海の魚介類はよく食べる。そしてチーズは日常食であり大事な蛋白源である。
  • チーズはもともと、遊牧民が羊や山羊の生乳を保存し携帯できるように水分を除くことで作られ、固めたカードと呼ぶ乳の固まりを乳酸菌など微生物で発酵し熟成する。
  • クレタ島のフェタチーズギリシャの代表的な「フェタチーズ」は島民の常食の一つで、乳を固めた「カード」を塩水の筒の中で2ヶ月以上は熟成される。やや独特のにおいがあり、さくさくし、独特の塩味がし、羊のよりヤギの乳から作った方が味が豊かである。
    (写真右、市販のフェタチーズ)
  • フェタチーズはギリシャの「ホリアテイキ・サラダ(田舎風サラダ)」には欠かせない食材である。
  • フェタチーズはクレタ島では料理に大事な食材で、サラダの外にも野菜のパイ、オムレツ、魚の料理の詰め物、果物に添えるなど、多くの料理に使う。
  • オリーブ油に添えて食事に風味をつけ、また、ワインによく合う伝統な食材の性質にある。

(参考:R.Salaman & J.Cutler: The food and cooking of Greece)

3:ヤギ乳のチーズ

  • 岡山・瀬戸山荘の延藤さんのヤギ世界で最古のチーズの記録は、紀元前8世紀の世界の古典文学、ホメロスのオデッセイアにギリシャの羊とヤギの乳から作る「フェタチーズ」について記されているという。
  • ヤギは牧草の少ない岩山を走り回り、植物も少ない貧弱な土地で生活し、人間の最古の家畜として、その乳は繊維質の多い植物だけを消化した良質の成分を含み健康的と言はれる。
    (写真左:岡山・瀬戸山荘の延藤さんのヤギ)
  • 米国・ワシントンの栄養・健康研究所のシモポール博士は、クレタ島の住民の健康長寿と日常の食生活の研究で、多くのチーズを常食にすることから、フェタチーズの組成に注目した。
  • クレタ島ではヤギや羊の生乳を飲まないでチーズを多く食べることに特徴がある。そのチーズはヤギが餌になる山野に自生する緑の野草やハーブの優れた脂肪酸や抗酸化成分が濃縮されて沢山含まれていることで良質の食材といえると説明した。
    (参考:A.Simopoulos: Journal of  Nutrition, 2001, 131, 3065S-3073S)
  • クレタ島の羊のチーズの油脂成分は次のような健康な組成で低脂肪で健康に良い不飽和脂肪酸が多く含まれている。
  • 古くから、羊と山羊の乳から作るヨーグルトとチーズは牛乳アレルギーと関係がなく、また、独特の健康に良い良質の脂を少量含んでおるため、健康によいことが知られている。
    チェダーチーズ、アメリカ産チーズ、ギリシャ「フェタ・チーズ」の脂肪酸組成比較グラフ
  • 世界の各国には夫々に独自のチーズが生産されている。いづれも牛乳を原料とするのがメインであるが、他に羊や山羊の乳から作るチーズも世界には出回っている。
  • 世界の多くのチーズは牛乳から作られているが、羊とヤギの乳を原料にしたチーズも各国で作られている。欧米では、羊の乳は牛乳の値段の4−5倍するので、グルメの食材とみられている。
    イタリア:
    「ペコリーノ」
    フランス:
    「ロックフォート」、「クロタン」
    オランダ:
    「ベルブランシュ」
    アメリカ:
    「バーモント州などのローカル製品」
    ギリシャ:
    「フェタ」、「カファロチーリ」
    キプロス:
    「ハロウミ」

    (参考:K.F.Kiple & K.C. Olnelas: The Cambridge world history of food)

  • 日本でも小規模で生産されているが、スーパーマーケットで入手するほどは流通していない。
  • 農場のヤギ岡山の「ルーラル・カプリ農場」の小林真人氏は乳用の山羊の飼育を始めて、「ヨーグルト」についで「ソフトチーズ」を完成し市販された。
    (写真右:農場のヤギ)
  • 酪農の発展の為に健康長寿に有望な世界に通用する乳製品を生み出そうとされている。
  • ヤギを数十頭飼育されその為に自然の繊維質の多い植物性食材を厳選して天然に近い食餌に工夫された。
  • 完成したヨーグルトはドリンクタイプでヤギ独特の純白で自然の甘みがあり爽やかで飲みやすい。その品質は手作り感を残しながらも第一線に並ぶ品質である。
    ルーラルカプリ農場のヨーグルトルーラルカプリのヤギのチーズ
    (写真左:ルーラルカプリ農場のヨーグルト)(写真右:ルーラルカプリのヤギのチーズ)
  • 生チーズは山羊の乳から手作りで仕上げた純白で素直な味のチーズ(フロマージュブラン)。
  • そのままで、又、ハチミツ、オリーブ油、ジャムを添えてよくマッチし、また、スモークサーモンと共にしても相性が良い。
  • ギリシャのフェタチーズを感じる独特のさくさくした性状で、伝統の健康食のチーズに学んだ食材として期待したい。

(参考:ルーラルカプリ農場のホームページ)