(2)出会った野菜・果物の顔と味
イチジクと健康、そしてソリエス
- 昔の日本風の庭先には柿とイチジク(無花果)が植えられて生活に身近な果物であった。そのイチジクはあまり身近すぎて美食と健康の話題には少し縁遠い。
- 地中海食の健康な食生活との関係を見ると頻繁にデザートや間食の食材として登場するので、健康食材として注意を向けたみたい。
(参考:橋本浩明著:若返りの秘訣は腹七分、2002年、日経BP企画) - このイチジクの原産地は、小アジア地域(トルコ周辺)で、早くから地中海沿岸で野性していた。そして、地中海風の庭園では、多くの過程の庭木にイチジクがあると言われている。日本とよく似た景観に思いがいたる。
(参考:Kiple & Ornelas: The Cambridge World History of Food, 2000,Cambridge University Oress) - 旧約聖書の『創世紀』にある人類最初の夫婦『アダムとイブ』が裸の腰を覆った最初の衣服がイチジクの葉であり、有史前からの古い果物である。
- イチジクの木は学名 Ficus carried, クワ科イチジク属の植物で、花と種子を包み込んだ甘い果物である。イチジクの植物種は約100種類あると言はれる。ゴムの木も同じ仲間で、子供の頃若いイチジクを折ると白い樹液がでてかぶれると騒いだ(いたずらする子供を脅したのか)ことも思い出す。
- 日本では庭木に多いこの果物も栽培は日本各地で行われ、渡来したのは江戸時代に持ち込まれたと言われる。
- そして、20世紀に入り、広島県の桝井農場がアメリカから持ち帰ったドーフィン種が広がり、主に愛知県が最大の生産量をあげている。秋にはスーパー店頭に一斉に並ぶが販売される期間が比較的に短い。

- アメリカでは、20世紀の始にカリフォルニアで栽培がはじまり、現在ではアメリカの栽培量の殆どをしめている。イチジク(無花果)は、英語もフランス語も「フィッグ」と共通であるが、フランスで食用に供するのは「ソリエス」と呼ばれる。
- これはフランスで改良されたイチジクのビオーレ・ソリエス種からきている。
- 広島県で2007年産の「ソリエス」を送って頂いた。デザートでは日本のイチジクに比べて生で食べて扱いやすく、食べやすく、品の良い甘みに魅了されて、この素材の性質と料理法に関心をもった。(写真参照)
地中海の健康食とイチジクの働き
- 古代から、エジプト、ギリシャ、ローマの闘士たちに、エネルギーがすぐに効き目をあらわすイチジクが与えられたといはれる。それほどにエネルギーに富んでいる。他の代表的な果物と比較して見よう。(表を参照)
イチジクの糖分とカロリーの特徴 100g当たり カロリー(kcal) 総糖分(g) イチジク(生) 74 16.26 イチジク(干) 249 47.92 リンゴ皮なし(生) 48 10.1 バナナ(生) 89 12.23 米国農務省:食品成分データより
- 非常に興味があるのは、干しイチジクは何千年も前から伝統的な保存食であった。今日もエーゲ海の島々の食習慣では、干しイチジクは大事な食材である。その伝統は糖分の補給と吸収が速やかで保存・携帯に適したためであろう。
- 成分にはビタミンA、カリウム、カルシューム、その他のミネラルも豊富で栄養豊富な果物である。また、腸の働きを良くするとも言われている。
- 一般に保存が難しく生食できる期間が短いので、古くからエジプト、ギリシャ、ローマ人は、乾燥イチジクにして食べていた。この身近で庶民の食べ物の長い歴史から『貧者の食物』とも呼ばれる。
食べ方の色々
- その甘い独特な食感から、果物として生で、また、ジャム、乾燥、缶詰などに加工される。最近教わった方法で冷凍保存してシャーベット状にして早春に食べるとまた、実に美味である。
- デザートとしては、生の果実を使ったタルト、フィロ(木の葉状のパイに似たケーキ)、砂糖漬けのコンポートなど、多彩である。
- また、ドライフルーツとしては、菓子パンにナッツなどと加えたり、ヨーグルトやシリアルに加えたりする。
- ギリシャ風では、多くの家の庭にあるイチジクは、家庭料理には色々な使い方がある。
(参考:Salaman R, Cutler J.: The food and coking of Greece. 2005,Lorenz Books, London)
(参考:Vegetarian Times Cooks: Mediterranean, 1999, William Morrow and Company, New York) - 乾燥イチジクをグリーンサラダにチーズとあわせて加えたり、生でオレンジと合わせて加える。
- 又、生の果実では、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼなどの消化酵素が多いので、新鮮な肉を熟成するために肉に絡ませるなどの習慣があり、料理にも羊肉のロースト、鶏肉のローストの際に使うなどがある。













