食と健康をコラムを通して考える

「身土不二」と残したい希少野菜

(2)出会った野菜・果物の顔と味

サラダに添えるスベリヒユ(プルピエ)

スベリヒユのサラダ
  • スベリヒユ Portulaca oleracea をサラダで食べることを知ったのはギリシャ料理からである。(写真上)
  • ギリシャ料理のサラダに関心を持ち、日本のスベリヒユを採取して生でサラダに添えたところ、嫌味はなく、しゃきしゃきとするが食べるとぬめりがある。
  • 調べると、英語圏では「パースレーン」と呼ばれ、フランス料理では、食材として「プルピエ」とよばれ、欧州一帯ではサラダ料理、或いは酢づけでアペタイザーなど広く親しまれている。
  • スベリヒユは、畑や道端に良く見かける草で、特に畑では海のたこのように四方八方に張りついて生えていて、タコクサとも呼び、嫌われ者でもある。
  • スベリヒユ属の植物で身近な種には「スベリヒユ」、「マツバボタン」、「タチスベリヒユ(写真中)」、「花スベリヒユ(別名ポーチュラカ)」などがある。タチスベリヒユ
  • 中近東が原産で、広く世界に分布し日本でも全国で見られ、北米でも広く分布している。
  • ギリシャ料理で代表されるスベリヒユは、葉が大きく「タチスベリヒユ」と分類されることもあり、野菜として栽培される。
  • 味はクレソン或いはホーレンソウに似るとも言われており「タチスベリヒユ」は大葉で食べやすいようだ。
  • スベリヒユの健康への効果で最も有望なのは「グルタチオン」の濃度が、ほうれん草の1.5倍も含まれていることにある。 このグルタチオンは、体内にある大事な抗酸化成分と同じで、体内に吸収されて即効があることが知られている。
    (A.P.Simopoulos: Journal of Nutrition, 2001, 131:3065S-3073S)
  • このスベリヒユには、食用の植物の中でも最も「オメガ-3-脂肪酸」を多く含んでおり、このオメガ-3-脂肪酸は、本来、魚油に多く、血圧、心臓冠動脈病などの血管系に優れた効果があり、健康素材として有用である。
  • ギリシャのクレタ島などの代表的なチーズ「フェタ・チーズ」は、羊やヤギの乳から作るが、この羊やヤギが良く食べる草にスベリヒユが多いことから、チーズの中に良質の「オメガ-3-脂肪酸」を沢山含んでいるとも言われる。
  • スベリヒユクレタ島の住民の伝統食が現在、世界の健康長寿食の見本として見直されているとき、彼らの食材の健康への価値の1つとしてスベリヒユの役割が見えてくる。
  • 日本でも古くから歌にも読まれ、万葉集では「いはゐづら」と読まれている。
  • 野に出た時に出来の良いみずみずしいスベリヒユに出会ったらつみとって食べてみるのも楽しいことであろう。

続:スベリヒユ(プルピエ)を食べる

摘みたてのスベリヒユ
  • スベリヒユを栽培している方があった。
  • 長谷川先生(広島県農林振興センター・アドバイザー)が、広島県内の農家で発見されて贈与して頂いた。
    (写真右:摘みたてのスベリヒユ)
  • 農家のお話では、おばあさんの時代に食用に植えていたらしい。その後は使うことが無く、畑の隅で生きき続けたものだ。
  • スベリヒユを人類の祖先が食用とした歴史は古い。
  • 紀元前500年よりもっと前に地中海沿岸から欧州に広がってイラクサ、アカザ(野生ホーレン草)、タンポポと共に、このスベリヒユが食用にされていた。
  • 中世になると、僧院や広い屋敷の庭には、薬用のハーブと、サラダ用の植物が植えられ、パセリ、セージ、フェンネルなど共にスベリヒユが育っていた。
  • 14世紀ごろ、南欧にトマトが使われる前に、レタス、アカザ、ソレル、キャベツ、ケール、アスパラガスなどと共にスベリヒユはサラダ・グリーンの大事な食材であった。
  • 北アメリカでは、紀元前から食用になっていたが、ミシシッピ・キュイジーンと呼ばれる時代(11世紀頃の土着民族)の食文化が栄えて、パセリ、セージ、たまねぎ、フェンネルなどと共に大事な素材としての記録がある。

(以上、Kipke & Ornelas:The Cambridge World History of Food; より)

  • 欧州でのスベリヒユの伝統的なサラダは、油、酢、食塩で味付けされていた。
  • 今日のフランス料理ではプルピエと呼ばれ、生やソテイして各種の料理の添え物につかわれる。
  • 勿論、ギリシャ料理ではサラダ・グリーンの大事な素材である。
  • この日本産のスベリヒユをどのようにして食べるか思案して2種の調理に用いた。
  • 1つはサラダ料理、他の一つは、ミックス野菜の油いため。
    (下の2つの写真;スベリヒユ添えのサラダと、スベリヒユ入り野菜炒め。)スベリヒユ添えのサラダと、スベリヒユ入り野菜炒め
  • サラダに添えると、フレーバーはややハーブ調の香味があり、サラダ・グリーンの新鮮さは魅力がある。
  • 野菜炒めの場合は、全体を炒めた最後に混ぜると新鮮さが残り香味と食感が良い。
  • 食感は多少のしゃきしゃきした歯ごたえがあり、天然のある香味が味わえる。
  • 人類の歴史の初めから今日まで、あまり品種改良もされない原種であることが頼もしい。
  • しかも、前編で紹介したように、健康長寿に良い即効性の抗酸化成分のグルタチオンが豊富で、カラダに良いオメガ-3-脂肪酸のリッチな野菜、食べてみる価値がある。